格闘技人口が増えてきたことで、より多くの人がグラウンドでの寝技や組み技の複雑さを理解するようになった。
もしあなたがプロの格闘家になりたいと思っていなくても、ブラジリアン柔術を試してみてほしい。得るものはとても大きいはずだ。
#1 最高のフィットネス
心拍数を上げ、発汗を促進する運動は、当然すべて健康にいい。だが、スポーツとしてのブラジリアン柔術は非常に包括的なエクササイズだ。全身のワークアウトになるだけでなく、コーディネーション、バランス、敏捷性などの向上に重点を置いた様々なドリルもある。すべて、日常生活にも役立つ運動能力だ。
ノーギ·グラップリング世界選手権で2度王者に輝いたブルーノ・プッチは、柔術を始めてからぽっちゃりしていた体形が引き締まったという。ブラジル出身のプッチは今、ONEアスリートとしてブラジリアン柔術のスキルを活用している。
#2 護身術のスキルを学べる
スポーツとしての柔術と実戦のための柔術はどちらが利点があるかという長く議論されてきた問題はともかく、多くのブラジリアン柔術のジムでは護身術もプログラムの一部として提供している。
たとえば誰かに抱きつかれて押さえ込まれた時や、後ろから首に腕をまわされた時にどうやって逃れるか、また、仰向けに地面に寝た状態からどのように攻撃を繰り出すかなどを学ぶことができる。
これらのスキルを実際に使う機会はない方がいいに決まっているが、身につけておくのは絶対に良いことだし、価値がある。
アレックス・シウバ(ブラジル)は子どもの頃、いじめっ子から身を守るためにブラジリアン柔術のトレーニングを始め、最終的にコパ·デ·ムンドブラジリアン柔術世界チャンピオン、ONEストロー級世界チャンピオンに輝いた。
#3 小柄な人にもアドバンテージ
50kgの女性が自分より30kg重い男性にチョークを決めるのを見れば、この意味が本当に理解できるかもしれない。ブラジリアン柔術のジムでは珍しくない光景だ。
小柄な人は、最初は自分より大きく体重もある人に押さえつけられる経験をするかもしれない。だが、スキルとテクニックを身につけるにつれ、体格のいいトレーニングパートナーとスパーリングをするのも怖くなくなるだろう。
小柄な人にはいくつかのアドバンテージもある。手が小さいほど、相手の首に腕を滑り込ませてチョークを決めやすくなる。
動画では、澤田龍人が自分より大きな対戦相手アジズ・カリム(インドネシア/フィリピン)をグラウンドでコントロールし、リアネイキッドチョークでサブミッションを決める様子が見られる。
#4 自律と自信が身に付く
打撃がメインの格闘技では、ある程度トレーニングを積んで基礎的なスキルを身につけてからしかスパーリングを始めることはない。だが、ブラジリアン柔術ではトレーニングを始めた直後からスパーリング、もしくは「ローリング」(と、ブラジリアン柔術では呼ばれる)を始めるように言われる。
最初は怖じ気づくかもしれない。きっと、数えきれないほどタップすることになるだろう。だが、覚えたスキルを実戦で試すにはローリングが唯一の方法だ。繰り返し練習してきた動きやサブミッションがようやく成功した時には、これまでにない達成感を感じられるだろう。
激しいブラジリアン柔術のトレーニングのおかげで、アギラン・ターニ(マレーシア)は50kg近く減量し、劇的な変容を遂げた。新たな自信を身につけて浮上したターニは今やONEのウェルター級のトップアスリートの1人だ。
#5 精神力も鍛えられる
ブラジリアン柔術が「体を使ったチェス」と呼ばれるのにはもっともな理由がある。ひとつの手に対し、多くのカウンターが存在するのだ。
トレーニングを進めるにつれ、次の手だけでなく、何手か先を考えながら動くことを覚えるだろう。
ブラジリアン柔術は常に進化しており、レベルの高い柔術家が次々と新しい技やそれに対するカウンターを考案している。黒帯を持つ人が他の黒帯を持つブラジリアン柔術家の講座に参加し、新しい技を学ぶことも珍しくない。
ONEアトム級世界王者のアンジェラ・リー(シンガポール)を下したこともあるミシェル・ニコリニは無数のサブミッション技でファンを魅了し続けている。8回ブラジリアン柔術世界チャンピオンに輝いたニコリニは世界最強の女性柔術家の1人として、世界中で講座を開催している。
#6 友達づくりにぴったり
ブラジリアン柔術コミュニティーは概してフレンドリーで、新しい人も歓迎する雰囲気がある。上級の生徒も喜んで初心者にいろいろなことを教えてくれたり、ローリングの後にフィードバックをくれることが多い。
「道着さえ着ていれば、世界中どこのジムでも歓迎される」と、ブラジリアン柔術のコミュニティーでは言われている。
エディ・アルバレス(米国)はおそらく世界でも最も有名な格闘家の1人だろう。謙虚で敬意に満ちた性格から、アルバレスはブラジリアン柔術のアイコンとして愛されている。
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