家を買うのに頭金は必要? 頭金ゼロで住宅ローンを組むメリットとは

注文住宅を購入するときに気になるのがお金のこと。

ほとんどの方が住宅ローンを利用しますが、その際に「頭金をどうするのか」といった問題があります。頭金に充てるお金が準備できていないために、住宅の購入を諦めたり、先送りにしたりするケースも少なくありません。

しかし、頭金がなければ家を購入できないわけではありません。また、頭金ゼロで住宅ローンを組むことのメリットもあります。

家族のライフプランやマネープランに合わせて、頭金ゼロでマイホームを手に入れることも、選択肢の一つとしてあります。

今回は、住宅ローンの頭金についての基礎知識をはじめ、頭金ゼロで住宅ローンを組むメリットと注意点についてお話しします。

1. 住宅ローンの頭金とは

住宅を購入する際の頭金とは、住宅ローンを組む前に、購入代金の一部を先に支払うためのお金を指します。頭金として準備する金額は、ローン総額の約1〜2割が目安です。

例えば、3,000万円住宅ローンを組もうとするとき、そのまま全額をローンで購入するのではなく、頭金として2割の600万円を最初に支払って、残りの2,400万円でローンを組みます。これまでは住宅ローンの借入金額が低くなると、トータルで発生する利息も抑えられることから、頭金を準備して住宅ローンを組むことが一般的となっていました。

ところが最近は、頭金なしで、購入代金の全額を住宅ローンに組み入れることも珍しいことではなくなっています。

2. 頭金ゼロで住宅ローンを組むメリット

頭金を少しでも多く払って家を購入したいと考える方も少なくありませんが、頭金のために何年もかけて貯蓄することは必ずしも得策とはいえません。

貯蓄している間に不動産の価格や金利が上昇する可能性があります。また、これから頭金を貯めて購入しようと思っている方は特に、忘れがちな家賃についても考えてみてください。
同じ金利で同じ期間ローンを組む場合、頭金を準備し借入金額を少なくすれば、もちろん利子が減ることから総返済額は少なくなります。しかし、頭金を貯めるのに3年かかるとすると、どうでしょうか。

例えば、毎月8万円の家賃を支払っている場合
8万円×12カ月×3年=288万円

頭金を貯めている間にこれだけの金額を家賃として支払っていることになります。トータル的にどちらがお得になるのかは「総返済額がどのくらい変わるか」と「家賃の支払い分」についても考慮する必要があります。

とは言え、もちろん頭金がゼロよりも、諸経費分など少しでも多く用意できるに越したことはありませんが、これから貯蓄をして「必ず頭金を用意しないといけない」、「現在の貯蓄を全て頭金に回す」必要はないということです。

それではもう少し頭金ゼロでローンを組むことのメリットを知り、現在の家計の状況や、家族のこれからの生活を踏まえて住宅ローンの組み方を考えてみましょう。

マイホームが早く手に入る

マイホームを購入するきっかけとして多いのが、結婚や出産です。「周囲に気兼ねなく、子どもがのびのびと過ごせるような環境を…」と考える方も多いのではないでしょうか。

思いを込めたマイホームで、子どもと過ごす期間を長くするためには、少しでも早く家を購入したいところ。

また、理想の土地や住宅が見つかったときに、買い逃して後悔してしまわないようにするためにも、頭金を準備できなかったとしても住宅ローンを組んで、早めに行動することが吉と出ることもあります。

マネープランが立てやすい

頭金に回す予定だった資金を貯蓄しておくことで、教育費や老後の資金を確保しやすくなります。想定外の出費があった際にも、ある程度の貯蓄があると安心です。

また、早い段階で住宅ローンを組むことで返済期間が長くなれば、その分毎月の返済額も抑えられることもあります。無理のない返済プランが立てやすくなるほか、安定した生活費を確保しながらマイホームを手に入れられます。

住宅ローン控除が利用しやすい

住宅ローン控除は、住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得や増改築などを行った場合に、年末時点におけるローン残高の0.7%が所得税(一部、翌年の住民税)から控除される制度です。

頭金をゼロにして借入金額を増やすことで、住宅ローン控除を受けられる額を増やせるメリットがあります。フルローンを選択される方のなかには、住宅ローン控除を増やすことを目的としている場合もあります。(ただし、住宅ローン減税は支払っている所得税などから控除するため、収入が低い人ほど税金の納付額が少なくなるため、その効果は小さくなります。)

ちなみに、住宅ローン控除を受けるにも期間が設定されていますので、何年先に購入しても必ず受けられる制度ではないためご注意ください。

3. 頭金ゼロで住宅ローンを組むときの注意点

頭金ゼロで住宅を購入することにはさまざまなメリットがありますが、注意点も踏まえて住宅ローンの組み方を検討する必要があります。

頭金ゼロの場合、住宅ローンの返済総額が高くなるため、返済期間が長くなる、あるいは月々の返済額が増えることになります。毎月の収入や生活費を踏まえたうえで、シミュレーションを行い、無理なく返済できるプランを考えることが大切です。

また、頭金ゼロでも銀行からの借り入れがしやすくなっているものの、借入条件が厳しく設定されているケースも少なくありません。銀行によっては審査が厳しく、頭金ゼロでは住宅ローンが利用できない可能性があることを理解しておきましょう。

4. 頭金を貯めるよりも繰り上げ返済を活用しよう

少しでも早くマイホームを手に入れたいけれど、借入金額が多くなるのは不安…そんな方は、繰り上げ返済を活用することも一つの方法です。時間をかけて頭金を準備するよりも、繰り上げ返済をうまく活用して、ローンの返済を早める方法があります。

例えば、ボーナスのうち50万円は繰り上げ返済に充てる、毎月3万円は繰り上げ返済分として確保するといった方法があります。もちろん子どもの入学など大きな出費がある年には、繰り上げ返済用の貯蓄額を減らすことも可能です。

繰り上げ返済を活用することで元金が減り、それにかかる利息も減らせます。このように、頭金ゼロで少しでも早く住宅を手に入れたほうが、お得になるケースも考えられます。

なお、住宅ローン控除の利用については先に触れましたが、今後控除の要件が変更となる可能性もあります。住宅ローン控除が受けられるうちに住宅を取得することも一つの方法です。また、現在はZEH補助金制度も登場しているため、補助金を賢く活用することも考えてみてはいかがでしょうか。ただし、世の中の主流がZEHとなれば、こちらの補助金もなくなる可能性が高くなります。他にも「こどもみらい住宅支援事業」という補助金制度がありましたが、予算上限に達したため、つい先日受付が終了し、「こどもエコすまい支援事業」という補助金制度が新たにできました。
このように、補助金もつねに同じものがあるとは限らず、受け取り方や金額が変わることもありますので、繰り上げ返済に活用するとしてもタイミングが大事となります。

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